P.M.2はアース・パフォーマンス・マガジンとも呼ぶ。(増補復刻版)1984+2020

TPAFの出版物

 

P.M.2はアース・パフォーマンス・マガジンとも呼ぶ。(増補復刻版)1984+2020

 

80年代半ば頃でしょうか、アート界はヨーゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイクが来日し、一種パフォーマンスブーム(?)が起こっていました。そんな時、池袋のアールヴィヴァンでたまたま見つけたのが「P.M(パーフォーマンス・マガジン)2」でした。私はこの本に衝撃を受けたのですが、そこには「35種類のメッセージ」という文章がありました。

それは以下の人達に向けられたものでした。

「実業家、美術館館長、ギャラリー・オーナー、劇場主、出版関係者、書店主、文化人、建築家、美術家、パフォーマー、伝統芸術家、音楽家、俳優、小説家、批評家、観客、スポンサー、ジャーナリスト、デザイナー、コピーライター、マーケティング・コンサルタント、プロデューサー、歴史家、哲学者、教育者、エコロジスト、平和運動家、行政担当官、弁護士、芸術など縁がないという人、自らの領域を逸脱したい人。憂国の志をもつ人、あらゆる被害者、100年後の将来をみつめる人、海外の日本人」と書かれています。

池田氏はよく「地球まるごと」「ありのまま」と言う言葉を使いますが、それは脳天気に「人類皆平等・兄弟」という意味ではなく、仏教に「一切種智(いっさいしゅち)」という言葉があるように、一つ一つのものを個別的、具体的にあるがままに知り、また一つ一つにメッセージを送ることが開かれたアートであるということなのです。それは、ボイスの「社会彫刻」の考えに通じるところがあるともいえますし、また全ての人間は社会的な存在であることを改めて感じるのです。

本書はそのPM.2の復刻版です。以下、池田一氏の言葉です。

「『PM2』は、アーチストによる日本で初めてのパフォーマ ンス・マガジンです」と言われて、改めて 半ば手作り本と言ってもいい荒々しい作り の書物を読み直してみた。

 実に36年前の出版物だが、その後の芸 術文化の停滞気味の動きをみると、生々し い「第一義の表現」のオンパレード、職業・ 国籍・差別を超えた真っ向のメッセージ集 など、万人が立ち返るべき表現の原点だと 直感した。  14、5年前、北海道の釧路で、「池田一・ 水のアート・プロジェクト釧路」の発足の ためのトークショウがあった。帯広からの 参加者の一人が「池田さん、今も大事にし てますよ、PM2」と語りかけてきた。何 故?って尋ねたところ、「PM2 は、当時の バイブルでしょ!」という返事が返ってき た。

TPAF 出版局の河合孝治も当時購読し て衝撃を受けたということで、再々復刻版 の刊行を勧めてくれた。  そして、いま様々な権力の露骨なまでの 介入、新型コロナの世界的感染による逃げ 場のない圧迫状況下で、「アート以後のアー ト」という重い課題に真っ向に向き合う者 として、復刻版の出版というかなり面倒な 作業に突入することにした。それからは、 「自粛」ではなくて「自育」と決め込んで、 1984 から2020 へと進化してきた『PM2』 を増補して、完成させたのが本書です。  振り返ると、まっすぐな道のりが出現し てくる。その路上での立ち話に、「アート以 後のアート」談義が交わされることを楽し みにしている(池田一)。

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